寛平御時后宮歌合の歌

住之江の 岸による波 夜さへや
  夢の通ひ路 人目避(よ)くらむ

            ――藤原敏行朝臣(「古今和歌集」)


<直訳>
寛平御時后宮歌合(889年ごろ)の場で詠んだ歌
住吉の浦に波がいつでも「寄る」ように、(昼だけでなく)夜までも、
夢であなたへ会いに行く恋路で、あなたはどうして人目を忍ぶ必要があるのでしょう。



・文法など
「住之江の〜波」は「よる」にかかる序詞。


「住之江」
もちろん、大阪市の住ノ江。
いまの住之江区のことではなく、住吉大社や南海本線の住ノ江駅の辺りのこと。

昔は、今の国道26号線あたりまでが海であり、
住吉は松の名勝として、その名を知られていた。


「夢の通い路」
お互いのことを思い、思われていると、夢でも逢えると考えられていた。



<hの実情に合わせた意訳>
住ノ江に昼夜を問わず打ち寄せる波のように、いつでもあなたに会いたいと思う。

昼は「周りの人が見ているから」とあなたがおっしゃるから、
素っ気ない態度をするように努めている。

しかし、夜になって、あなたのことをどんなに強く想っていても、
夢の中に あなたはそう簡単に出てきてくれることはない。

出てきてくれたとしても、「周りの人が見ていますから」という。

夢路には自分たち以外誰もいないというのに、
どうしてそういわれ続けるのであろうか。


「あぁ、やっぱり私のことなんて、何とも思われていないのか」
と、悲しいかな思ってしまうことだ。
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