女にはじめてつかはしける

かくとだに えやはいぶきの さしも草
 さしも知らじな もゆる思ひを

              ――藤原実方朝臣  「後拾遺和歌集」


<直訳>
女に初めて贈った歌

こんなにもあなたのことを思い慕っているということだけでも、
言いたいのだけれどもどうして言うことができるだろう。

だから、あなたはそれほどとはご存知ないでしょうね。
伊吹山のさしも草のように燃える私のこの想いを。



・文法など
「いぶきのさしも草」は「さしも」にかかる序詞。
「さしも草」、「もゆる」、「ひ(火)」は縁語。


「かくとだに」
=「かく(≒such)」+格助詞「と」+係助詞「だに」(=〜でさえ)
⇒このように〜さえ

「えやはいぶき」
=副詞「え」+係助詞「やは」+いぶき(「言ふ」と「伊吹」の掛詞)
⇒どうして言うことができようか。

「さしも草(ぐさ)」=艾(もぐさ)のこと

「さしも知らじな」
=「さ」+副助詞「しも」+「知ら」
 +打消推量の助動詞「じ」+詠嘆の終助詞「な」
⇒そのようなことなんて知らないのだろうなぁ

「思ひ」は、「火」との掛詞の意もある。



<hの実情をあわせた意訳>
私は口下手だから、「あなたのことだけを想っています」ということを、
伝えることもうまくできない。

私は奥手な人間だから、「あなたが好きだ」という気持ちを、
態度や行動で表現することもできない。

だけど、私はあなたのことが好き。


でも、どうしてあなたは私が浮気をしているっていうの?
なんで、どうしてわかってもらえないの?

あなたが「帰れ」というから、雨の中を傘もささずに帰ったよ。
でも、何にもわからなかった。


もう燃え尽きるかもしれない。
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