離れ離れなる男の「おぼつかなく」など言ひたりけるに詠める

ありま山 ゐなの笹原 風吹けば
 いでそよ人を 忘れやはする

             ――大弐三位 (「後拾遺和歌集」)



<直訳>
しばらく音沙汰がなく逢いにきていなかった男が、
「最近あなたが心がわりをしていないかが心配で・・・」などと
戯言をほざいて寄越してきたときに詠んだ歌

有馬の山から猪名川のササの原へと風が吹き下すと、
笹がそよそよと音を立ててゆれています。さぁそれなのですよ。
どうして私があなたのことを忘れなどしましょうか(反語)。
(忘れているのはあなたの方ではありませんか?)



・背景や文法など
「ありま山〜吹けば」は「そよ」にかかる序詞。

「ありま山」
神戸市北区の有馬町付近の山々のこと。

「ゐな」
兵庫県を流れる猪名川(いながわ)のこと。

「そよ」=指示代名詞「そ」+助詞「よ」
「それですよ」という意味と、風が「そよそよ」というのを表現している。
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