中関白少将に侍りける時、はらからなる人に物言ひわたり侍りけり、
頼めてまうで来ざりけるつとめて、女に代りてよめる

やすらはで 寝なましものを さ夜更けて
 かたぶくまでの 月を見しかな

               ――赤染衛門(「後拾遺和歌集」)


<直訳>
中関白(なかのかんぱく:藤原道隆)が少将でいらっしゃったとき、
妹に逢う約束をなさいました。妹は頼りに待っていたのに、
いらっしゃらなかった翌朝に、彼女に代わって詠んだ歌

あなたが来ないと始めからわかっていたならば、
ためらわずに寝てしまっていたでしょうのに、ずっと待っていたら、
月が傾いて、とうとう沈もうとしているのが見えたのですよ。



・文法など
「やすらはで」=「やすらふ」+「で」
→「ためらう、躊躇する」+「〜しないで」
⇒ためらわないで

「寝なましものを」=「寝」+「な」+「まし」+「ものを」
→「寝」+完了「ぬ」未然形+反実仮想「まし」連用形+逆接「ものを」
寝なかったでしょうのに(実際には起きていた)

「さ夜」の「さ」は接頭語で、調子(リズム)を整える。



<意訳>
「行くよ」といったので、待っていたらいつの間にか月が沈もうとしている。

私も何度やってしまったことか。


約束した→遅くに寝てしまった→起きられない→気づいたら夕方→ええぇ・・・


はぁ・・・、連絡もなく待たされる方はたまったもんじゃないですよね。


あー、思い出すだけでも憂鬱になれる。
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